HTLV-1医療講演会
こんにちは
クリスマスに近づいてきて、やっと冬らしい寒さになってきましたね
さて、先日12/11に、HTLV-1医療講演会が
蒲生町の「フォンタナの丘かもう」で催されました。
当院の副院長、山野嘉久Dr.の講演に始まり、
全国から集まった方々の交流会や、専門の先生方への質問会など
限られた時間の中での医療講演会でしたが、
患者さんの今までのご苦労や、ご家族の想い、
そして、これからの研究への期待・・・様々な方のお声、お気持ちを聞けて、
我々スタッフ一同、私たちに出来ることはまだたくさんあるに違いない
と感じた1日でした
まずは皆さんに、HTLV-1のことを少し知って頂けたら…と思います
(まだ私たちスタッフも勉強中で、少ない知識の中からですが…ご容赦ください)。
HTLV-1はヒトTリンパ向性ウイルス1型のことです。
成人T細胞白血病(ATL)やHTLV-1関連脊髄症(HAM)を引き起こすウイルスです。
HTLV-1キャリアはウイルスを持ったまま何事もなく一生を過ごす人がほとんどです。
しかし、キャリアの一部からATLやHAMを発症することがあります。
ATLは、急性骨髄性白血病とは異なり、成人になってから発症する、T細胞というリンパ球がガンになった病気です。
発症すると様々な悪性腫瘍の中でも最も治療の難しい疾患の一つです。
発症後の生存期間は4か月から2年以上で、くすぶり型、慢性型は数年~数十年の経過をたどりますが、
一部が急性型に移行することもあります。
HTLV-1キャリアの5%がATLを発症しています。
HAMは、HTLV-1に感染したTリンパ球が脊髄の神経組織に入り込んで炎症をおこし、
神経が徐々に破壊されて、その働きが損なわれる病気です。
歩きにくくなる、尿が近い、あるいは出にくくなる、足のしびれや手足の感覚が鈍くなるといった症状が起こってきます。
症状が進むと、車いすが必要になる場合もあります。
HTLV-1キャリアの0.3%がHAMを発症しています。
厚生労働省は12/9までにHAMの治療薬開発を目指す研究班を立ち上げました。
初年度の事業費は3900万円とのことです。
この研究班班長に山野嘉久Dr.が就任し、新たな治療薬の開発や臨床試験の体制を整えるそうです。
いままで、九州に多い病気とされてきましたが、2009年の疫学調査で全国に分散していることが確認されました。
にもかかわらず、まだこの病気を知っている人が少ないのが現状です。
そのために、病気を誤解している人も少なくありません。
感染経路は、①母子感染(主に母乳中のリンパ球から子供に感染します)
②夫婦感染
③輸血(1987年以降の輸血感染は防止されています)
です。
普通の日常生活では、感染を心配する必要はありません。
しかし、正しい知識が普及していないがために、苦しい思いをされたことのある患者さんもいらっしゃいます。
私たちが関心を持って、正しい知識を身に着け、多くの方の理解を推進していくことが不可欠です。
皆さんに、HTLV-1のことを知って頂けるよう、努力していきます
最後に、医療講演会の司会をしてくださった山本慎一アナウンサーと
山野嘉久Dr.のツーショットをパチリ